いつも世界の女性と子供にために頑張ってくださりありがとうございます。本日は岡本教授に代わり、佐村が担当させていただきます。
先月、日本産婦人科医会から母体安全の提言2024が出ました。これは、医会が毎年母体死亡に至った症例を詳細に分析し、提言を発出するものです。ネットでダウンロードできますので、是非とも一度目を通していただければと思います。
この報告書に、日本での毎年約50名の母体死亡例の記載があります。この数をどう考えたらよいでしょうか。日本で昨年にお亡くなりになった人はおよそ160万人です。昨年の出生数は70万弱です。したがって昨年は日本の人口がおよそ90万人少なくなったことになります。これは和歌山県の人口に匹敵する数です。日本ではこれからも毎年、どこかの県が一つ、1年間で消失するくらいの人口減少が進むと考えられています。
では、もし全く医療がなければ母体死亡はどれくらい起こるかご存知でしょうか。200名に1名くらいです。そうであれば日本では毎年、4000人弱の妊婦さんの命が失われることになりますが、それが40−50名に留まっています。計算すると99%母体死亡を減らしていることになり、毎年4000名近い妊婦さんの命を救っていることになります。周産期死亡は、何も医療がない地域であれば20名に1名くらいです。現在の日本では250名に1名くらいですので、これも約90%、毎年3万5千人程度の赤ちゃんの命を救っていることになります。これは人口1億人以上いる国の中では最も良い数字であります。すなわち、世界一安全な周産期医療が行われていることになります。
ここに至るまでには、先人の努力、周産期医療に携わる方の努力、医療インフラの整備、公衆衛生の発展などがあってのことだと思いますが、現在その周産期医療の体制を脅かす状況が出てきています。われわれだけの努力だけでは難しいこともあるとは思いますが、なんとかこの良い指標を維持できるよう日々診療していただき、日本の周産期医療の水準が維持できればよいと思っています。それでは皆様、今週もよろしくお願い申し上げます。