皆さん、おはようございます。毎日患者さんのために、産婦人科学講座のために、そして世界の女性と子どもを幸せにするために頑張ってくださりありがとうございます。本日は岡本教授に代わり、佐藤がお話させていただきます。
私はこの3月末まで、4年半の間アメリカのメリーランド州に赴任させていただいておりました。車で10分走れば大陸気候の大自然に囲まれた伸び伸びとした環境で過ごせる一方、ワシントンDCにもメトロで30分で行け、予算や政治の動きが直に影響する少し特殊な環境での生活でした。大変なこともいっぱいありましたが、総じてとても有意義な研究者としての時間を過ごすことができました。大学へ帰ってきたら、100人弱の後輩が加わり鎬を削っているさらにマンパワーにあふれた講座になっていたので、驚きと共に頼しさを感じています。これからサブスペシャリティを選択して、医学的にも学術的にも研鑽を積んでいくtraineeの皆にも、自分と同じ、またはそれ以上の素晴らしい経験をしてほしい、と思います。研究に関することはまたいつでもお話しますが、海外生活を終えて私から3点お話したいと思います。
まず、“外国人として生きる”という厳しさは大事な経験になりました。これは渡米前に岡本教授からもお話いただいていましたが、様々な保護が国民一律に当たり前にある、国に守られた環境から放り出されているということを色々な場面で痛感しました。自分は娘3人と妻と渡米しましたが、何よりも家族の安全を守ることが重要事項であり、かつ日本に住むありがたみも深く理解できたと思います。
またその大変さを乗り越えるにあたり、人との繋がりを大事にする重要性も深く学びました。郷に入りては郷に従えとはよく言ったもので、周りの人達がたくさんヒントや手助けをくれました。首都が近いため日本人のみならず様々な国から来ている人たち、普段触れることのないような様々な職業のご家族と繋がることができ、自分にとっても視野の広がる人脈を作ることができました。
そして何よりも、自分が慈恵医大に、そして産婦人科学講座に帰属してることのありがたみを痛感しました。国外に長くいさせていただいて臨床から離れている中で、自分が医師であることも曖昧な感じになるときもあり、そのようなときに同期と連絡を取ったり、一時帰国時に医局に戻れたりしたときに、とてつもない安心感を感じました。
2020年のコロナ禍に旅立ちまして、およそ4年後に初めて教室から佐村修教授、長谷川瑛洋先生をNIHに招待できたこと、ボストンで行われたISPDで岡本教授や若手の方々にアメリカでお会いできたことは本当に嬉しいイベントでした。これも自分が育った暖かい講座の雰囲気のおかげだと思っていますし、自分の自慢でもあります。
医局員の先生方もこれから様々な道に進むと思いますが、皆様にも本講座に属していることを大事にしてもらいつつ、邁進していただけたらと思います。また留学など興味あれば、なんでもお話ししますのでお声掛けください。