AIKOU’s voice

2020.11.02

朝カンファレンス

 皆さん、おはようございます。毎日、患者さんのために、産婦人科講座のために、そして世界の女性と子供を幸せにするために頑張ってくださり心より感謝申し上げます。

  昨日は日本産婦人科学会が主催した着床前診断のPGT-M(※特定の単一遺伝子の異常がないかを調べ、遺伝性疾患をもつ子供が生まれる可能性を減らすことを目的とした検査)に関する倫理審議会をWebで拝聴しました。医師だけでなく患者会、メディア、弁護士の方々から様々な意見がありました。賛成の意見としては「障碍を有する個人が幸せに生きられる社会と理想をかかげながらも実はそれとは反した社会の中で子供を持つための現実的な手段である」という意見や、「出生前診断後の妊娠中絶の負担を回避できる」という意見、「子供には健康であってほしいという願いは親としての自然な思いである」という意見などがあり、反対意見としては、「疾患も持つ人を減らそうという社会に向かうことへの不安」や、「生命の根源である胚を廃棄・排除することは許容できない」という意見、「治療可能なものも含めてあらゆる疾患に適応拡大が広がる懸念」などです。いろいろな立場からの意見を聞いてお互いに相手を尊重しあいながら歩み寄るのが大切ですが、議論をつくしても最終的には合意にいたらない可能性のある難しい問題だと思います。着床前診断の希望の強さはそれぞれの方の疾患の状態や置かれて状況により様々であります。しかし肯定的な立場の方も、否定的な立場の方も障碍を有する個人が幸せに生きられる社会を臨んでいるとういう思いを共有しており、社会が障碍を有する個人や家族の対して権利を制限したり、圧力を与える方向に向かうことがあってはならないという点では一致しています。日産婦の中で意見を示し、患者さんと主治医で最終的に判断していただくことが一番いいのだと思います。この倫理審議会を拝聴して、日産婦の倫理委員会で検討されたことは理事会で承認され、主治医に意見として戻るので、理事会の責任はとても大きいのだな、ということを改めて痛感しました。また、一人一人の患者さんの背景、考え方、理想は違うわけですから、それらをきちんと聞いて患者さんの希望になるべく沿うような医療をしていかないといけないということも感じました。ぜひ、今週も患者さんの気持ちを尊重して、その気持ちに沿うように診療をしていただきたいと思います。それでは今週もよろしくお願いします。

一覧へ戻る

関連病院・同窓病院のご案内

$(function () { $('.column-accodion').accordion({     otherClose: true,   }); });