AIKOU’s voice

2019.02.12

朝カンファレンス

皆さん、いつも患者さんのため、家族のため、世界の女性を幸せにするために頑張っていただき誠にありがとうございます。
 さて、先週はハンブルグで開催された”Challenges in surgery meeting 2019”に出席しました。このミーティングでは良性から悪性、POPまでヨーロッパの一流の先生が100名ほど集まり、ビデオプレゼンテーションに続くディスカッションがメインのmeetingで、とてもホットで充実したものでした。ちなみにヨーロッパ以外からの参加はアメリカ人1名、インド1名、そして日本からは私だけの1名でした。Morcellationに関してバッグ内でどのようにやるかが話し合われておりましたが、これは日本の方が工夫していると思いました。また、ヨーロッパでは術前診断でMRIは保険でカバーできないので非常に苦労しているようでした。鈴木二郎先生が編集してくれたIVLの手術動画はとても好評でした。この研究会での画像の画質は日本人のそれに比べるとお世辞にも良くなく、多少の出血は当たり前でガンガン手術を進める動画が多く、日本人はいかに繊細なのかを再認識しました。ただ、日本の繊細さがすべていいのかと言うと必ずしもそうとは言えないかな、という印象も持ちました。安全に、そして患者さんのためになる手術は繊細なだけでなく、余計な操作を減らし、手術時間の短縮につながる術式も重要だと再確認しました。
子宮内膜症に対し、手術をするかまずは保存的にみるかはホットな討論となりました。やはり最後は患者さんに合わせた治療方針をすべきだということで落ち着きました。ホルモン療法はDNGがヨーロッパでも4-5年前から使用できるようになったとのことで、この薬の登場で手術をしないで保存的に管理する派も増えているようです。しかし、子宮内膜症が悪性化することに関してはあまり知られておらず、人種差と言えばそれまでかもしれませんが、悪性化に関しては無関心でした。
”My worst nightmare”というセクションでは失敗例が提示されていました。コンパートメント症候群で片足を切断まで至り、裁判になっている症例、Para-Aortaの出血例、BOTのmucinous carcinoma再発例などが報告されました。子宮頸がんのセッションではLACCの結果を受けて術式の選択がどのようになったかが話し合われました。ヨーロッパではかなり開腹になっているようです。しかし、Dr. Sven BeckerなどLPRの達人からは不満の声が多く、ヨーロッパで前向きのランダマイズ試験をやる方向で一致していました。しかし、ランダマイズは本当にできるのかという意見も最後まで聞かれました。
卵巣癌のセッションでは上腹部手術の必要性が強調されました。このセッションでは田部先生や斎藤先生が留学した先のボス、Professor Jalid Seholiが世界の進行卵巣癌女性を幸せにするには採算度外視でもエビデンスに基づきながらやるべきことはやるべきだと強調していました。彼のカリスマ性とサイエンティフィックに基づいたエビデンスを武器にパワフルな表現力で皆を先導していたのが印象的でした。今回のミーティングで学んだことは時間の余裕をもってサイエンスに没頭できる時間を持つこと、そして最先端の情報は十分に消化しながら自分の哲学をブラッシュアップすることの大切さでありました。
それでは今週もよろしくお願いします。

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